法と言語科学研究所
  
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言語学鑑定について

 本研究所では、言語学の知見を利用した鑑定を提供する拠点として展開していくことも設立目的として掲げている。これまでも、刑事・民事を問わず、さまざまな事件の鑑定や相談に応じてきている。

<言語学とは>
 言語学は、一言で言えば、ことばを分析する科学である。携帯電話は使えるが携帯電話で通話が可能になるメカニズムそのものについてはあまり知らないように、私たちはことばを使えるがそのメカニズムについては、実はほとんど知らない。たとえば、日本語の母語話者であれば、助詞の「て・に・お・は・が」を問題なく使い分けられるが、これらの使い方を説明できる人はほとんどいないであろう。小学校、中学校、高校の国語でどんなに優秀な成績をとっていた人でも、「は」と「が」の使い方の違いさえ説明できない人が多いのではないだろうか。それは裁判官のように高い教養と豊富な知識を持った人間でも同じである。言語は暗黙知なのである。言語学は、言語の使用方法を分析することによって、究極的にはその暗黙知、言語の産出と理解のメカニズムを解明する学問なのである。ややもすれば主観的でひとりよがりな分析になってしまいがちな言語現象について、客観的、科学的に分析していく術を有するのが言語学者である。

<言語学鑑定とは> 
 言語学鑑定とは、紛争や犯罪に関連した言語使用の資料を言語学の知見を利用して分析することによって、問題解決に寄与するものである。例えば、問題となっている発話が脅迫や詐欺と理解されるメカニズムあるいは話者の意図を説明したり、契約書や注意書きの文言の理解度・難解さの分析、商標の混同の有無の判定・要部の特定・一般性の評価をしたり、パソコンで作成された複数の文書の筆者・著者の異同を判定したり、通訳付き裁判での通訳の精度を調査したりといったことが代表的なところであろう。
 裁判においては、発話の意図などの分析が日常的に言語の非専門家(たとえば捜査機関や裁判官)によって単なる直観に基づいて行われているが、事件の証拠に関わる言語の分析において、言語学者ということばの専門家の立場から徹底的に分析した結果を提供していくことは、究極的には情報的正義の実現にもつながる。したがって、本研究所では、そのような言語学鑑定を提供していく拠点として機能すべく、鑑定依頼の受託、および鑑定人の紹介を行っている。


 
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