法と言語科学研究所
  
トップページ>News
 
 
 
 

 
 
お知らせ

■ 以下の要領で公開研究会を開催いたします。
(転載自由、周知にご協力ください)

「人が人を裁くということ 裁判員制度をめぐる議論の盲点」

講師: 小坂井敏晶 (パリ第八大学心理学部)

日時: 2010年7月27日 14:30〜17:00
場所: 東洋大学 大学院棟(5号館)5403教室

アクセスマップ: http://www.toyo.ac.jp/access/access_j.html
キャンパスマップ: http://www.toyo.ac.jp/campus/hakusan_j.html

<要旨>
 裁判官と裁判員のどちらにより正しい判断ができるか。この問いには原理的に答えが存在しない。被告人が犯人であるかどうかは当人以外の誰にもわからない。ある事実認定を正しいと認めるためには、裁判所の解釈と事実自体とがそれぞれ二つの分離された内容を持ち、かつ両者の間に齟齬がないと証明される必要がある。しかし事実自体は誰にもわからない。警察には彼らの犯行仮説があり、検察には検察の事実推定、弁護側には弁護側の主張、裁判官には裁判官の判断がある。それ以外にマスコミや世間の意見もある。これら多様な見解の中で最も事実に近いと定義されるのが裁判所の判決だ。裁判が真実を究明したかどうかを判定するために比較すべき生の事実はわからない。素人市民の方が裁判官よりも誤判が多いか少ないかという問いは意味をなさない。事実がわからない以上、判定しようがないからだ。答えは制度の内在的性質からは出てこない。
 事件の真相は神のみぞ知るという前提の下、判決を正当化する政策として欧米の制度は練り上げられてきた。英米とフランスでは司法哲学だけでなく、裁判に参加する「市民」の意味が異なる。それは控訴の仕組みに特によく現れている。フランスでは最近まで重罪の有罪判決に対して控訴が認められなかった。十年以下の処罰を担当する軽罪裁判では第一審も控訴審も職業裁判官が裁く。職業裁判官ならば誤判がありうる。それは技術的問題にすぎない。したがって控訴は可能だ。しかし重罪裁判では人民自身が裁きを下す。したがって人民の決定に対する異議申立ては国民主権の原則からして許されない。それに対して英米では有罪判決の控訴が可能なだけでなく、上級審は職業裁判官だけが司る。それは何故か。

問い合わせ: 堀田秀吾(明治大学)hotta■kisc.meiji.ac.jp (■を@に変えてください)
_________________________________________________________________________________________

■ 日本学術振興会科学研究費補助金・新学術領域研究
「裁判員裁判における言語使用と判断への影響の学融的研究」公開シンポジウム

日  時2010年6月13日(日)12:30 〜 17:00
場  所明治大学駿河台キャンパス・リバティタワー16階1166

第一部
「言語学鑑定の利用に向けた課題と展望」

パネリスト 指宿  信 (成城大学法学部教授・法と心理学会副理事長)
藤田 政博 (関西大学社会学部准教授・法と心理学会理事)
大河原眞美 (高崎経済大学大学院地域政策研究科長・教授・法と言語学会会長)
堀田 秀吾 (明治大学法学部教授・法と言語科学研究所所長)
司会 橋内  武 (桃山学院大学文学研究科長・桃山学院大学国際教養学部教授)

第二部
「法廷通訳の正確性と鑑定について」

パネリスト 宮家 俊治 弁護士(第二東京弁護士会)
渡辺 修 弁護士(大阪弁護士会・甲南大学法科大学院院長・教授)
水野真木子 (金城学院大学文学部教授・法と言語学会副会長)
司会 中村 幸子 (愛知学院大学文学部准教授)
総合司会首藤佐智子 (早稲田大学法学部准教授)

共催:法と言語学会・法と言語科学研究所

くわしくはこちら

■法と言語科学研究所公開講演会 [第一回]
  日時: 2010年2月26日(金) 1:30pm〜2:50pm
  会場: 明治大学和泉校舎
  
  札埜和男(京 都教育大学付属高等学校)
  「方言(地域語)と裁判員制度〜速記官の役割を視野に入れながら〜」

<講演要旨>
 大阪地方裁判所(以下「大阪地裁」と称す)をフィールドとした参与観察や法曹関係者および裁判当事者へのインタビューの方法を用いて、法廷に現れる大阪(関西)ことばを捉え、機能、権力・権威、言語権の3つの視座から分析した内容を報告する。さらに裁判員制度では入らない存在として誤解されがちな速記官の役割にも焦点を当てながら、分析で明らかになったことをもとに裁判員制度や今後の裁判について、市民にとって有益なあり方をことばの面から模索したい。

 

 
 
Copyright (C) sanyocpd, All Rights Reserved.